英語リスニングの苦手を克服する3つのコツ
日本では中学から大学まで、10年間もの長い間英語を勉強しますが、英語の読み書きはできても、リスニングは苦手と言う人が多いようです。その一因は日本の英語教育にあります。日本の英語教育は文法中心なので、読んだり書いたりする力はついても、英語を聞き取ることは難しいのです。では、英語リスニングの苦手を克服するには、どうすればいいのでしょうか。
英語リスニングが苦手な理由
英語リスニングが苦手な理由は、上記のように日本の英語教育にも原因がありますが、これだけではありません。
1.全部聞き取ろうとするから
英会話に慣れていない人が英語を全部聞き取ろうとすると、頭の処理が追いつかなくなって途中からわからなくなります。また、聞き取ろうとするのに頭に入っていかないと、軽いパニック状態になって、かえって聞き取れなくなってしまいます。実は日本人どうしの会話も、相手の話をすべて聞き取っているわけではありません。
わからない部分は、聞き返したりして会話が進んでいきます。また、部分的に聞き取れなくても、会話全体から相手の言いたいことがわかるので問題ないのです。日本人は日本語に慣れているから、日本語であればこういった柔軟な対応ができるので、すべて聞き取れなくても会話ができます。この点では、英会話も基本的に同じなのです。
わからない部分は聞き返せばいいし、会話全体から相手の言いたいことはわかるのに、英会話に慣れていないと全部聞き取らなければいけないと焦るために、なおさら聞き取れなくなるのです。これを改善するには、「聞き取れなかったら聞き返すか、会話全体から判断する」ということを知っておけばいいのです。
日本語だと簡単にできることでも、「英会話」と思っただけで身構えてしまうので、かえってできなくなるのでしょう。ただし、何度も聞き返すと相手も嫌な顔をしますから、会話の中の重要なキーワードを聞き逃さないようにするのがコツです。重要なキーワードさえ押さえておけば、会話の内容がつかめます。
全部聞き取らなくてもいいと思うだけでも、リラックスして英会話に取り組めるようになるでしょう。緊張すると何でもうまくいかないので、リラックスすることは英会話でも重要なのです。
2.頭が英語脳になっていない
英会話を始めたばかりの頃は、英語を日本語に訳して理解しています。最初のうちはしかたがありませんが、いつまでもこの状態では英会話は上達しません。まず、いちいち英語を日本語に訳していたら、時間がかかってしまうでしょう。また、英語を日本語に訳するということは、頭が英語脳になっていないことを意味します。
英語脳とは、英語を英語で考える脳のことです。当たり前ですが、日本人は日本語を日本語で考えています。同じように、アメリカ人は英語を英語で理解しています。このように、英語を英語で理解できるのが英語脳なのです。
英語脳になるには、英会話のレッスンを繰り返すしかないのですが、「英語を英語で理解する」ことを知っておくだけでも上達が早くなります。ちなみに、英会話に慣れると「夢の中の会話も英語になる」と言います。これが「英語脳」なのです。
3.知らない単語にこだわらない
英会話をしていて、知らない単語が出てきてもそれにこだわってはいけません。これは英語の本を読んでいる場合も同じです。英会話中にわからない単語が出てきたら意味を聞いたり、英語の本を読んでいて知らない単語が出てきたら辞書を引いてもいいのですが、わからない単語をわからないまま会話や本を読み続けることも大切です。
日本語の新聞を読んでいても、わからない言葉が出てくることはしばしばあります。また、テレビのニュースを聞いていて、知らない言葉が出てくることも珍しくありません。しかし、そこで辞書を引いて意味を調べる人はまずいないでしょう。また、特に調べる必要もありません。なぜなら、わからない単語があっても、ニュース全体の内容から意味が推察できるからです。
つまり、知らない単語があっても、内容を理解できるということです。日本語ではこれができるのに、英会話になると知らない単語があるだけで「どうしよう」と思ってしまいます。どうしてこうなるのかというと、英語脳になっていないからです。英語脳になっていれば、知らない単語があっても、全体から意味を理解することができます。
英語リスニングの苦手を克服する方法
英語リスニングの苦手を克服するための、おすすめの方法3つがありますのでご紹介しましょう。
1.短い英会話を何度も聞く
同じ英会話を何度も聞くと、耳が慣れてくるのでリスニング力が上がります。生まれたばかりの赤ちゃんは言葉を知りませんが、周囲の大人たちの会話を聞いているうちに、少しずつ覚えていきます。このようにして、日本で生まれた赤ちゃんは日本語を覚え、アメリカで生まれると英語を覚えていきます。
繰り返し聞くことが、リスニングには一番効果があるのです。これは、日本語の方言を聞く場合にも、似たようなことが言えます。たとえば、最初から最後まで東北弁だけのドラマがあったとします。東北弁の中でも特になまりが強いと、東北以外の人は聞き取ることができないでしょう。
しかし、東北以外の人でも、そのドラマを見終わる頃には、ある程度言葉を理解できるようになっているはずです。つまり、最初は聞き取れなかった言葉が、1~2時間のドラマを見ることによって、耳が慣れてきたのです。これは、英会話を勉強する場合にも同じことが言えます。
英語もずっと聞き続けることによって、耳が慣れてくるのです。その場合、短い英会話を繰り返し聞くほうが効果があります。短い英会話を理解できるようになると、別の英会話でもすぐに理解できるようになります。日本の赤ちゃんも、日本語の簡単な会話を繰り返し聞かせることで言葉を覚えていきますが、これと同じなのです。
つまり、リスニングの上達のためには、「聞く耳」を養うことが大切なのです。そのため、1分くらいの短い英会話の素材を繰り返し聞くのが、リスニング力を上げるコツです。最初はまったく聞き取れなくても、繰り返し聞いているうちに、少しずつ聞き取れるようになります。
このトレーニングに使う素材は何でもかまいません。ニュースでも映画の一部分でもいいので、Youtubeなどから適当な素材を見つけて使ってみましょう。
2.ディクテーション
ディクテーションとは、耳で聞いた言葉をそのまま文章にする作業です。ニュースや映画の一部を聞いて、それを文字にしてみましょう。このトレーニングは、音声に集中して、細かい部分まで聞き取る力を養うのに効果的です。
ハリウッド映画のDVDで、英語の字幕がついたものがあります。これは、英語のリスニング力養成のために作られたDVDです。このDVDを使って、字幕を見ないでディクテーションを行い、あとで字幕を見て間違っていないかチェックすることができます。ただ単にニュースや映画を見て、ディクテーションを行ってもいいのですが、それでは書き取った英文が正しいかどうかわかりません。
しかし、この方法なら、自分で合っているか確認することができます。ディクテーションに使う映画は、スラングがないものを選びましょう。スラングが多いと、下品な英語を覚えてしまいますから注意が必要です。
3.いろんな素材を聞く
ある程度ディクテーションに慣れたら、今度はいろんな素材を聞いて耳を鍛えましょう。複数の人がディスカッションする動画や、スピーチ動画などがおすすめです。ニュースや映画では、会話する訓練をした人の英語を聞くのに対して、ディスカッションやスピーチは、普通の人が話す英語なので、人によっていろんな話し方の癖があります。実際の英会話は、いろんな話し方の癖のある人と会話するので、こういった素材を使うことによって、さらにリスニング力が高まります。
まとめ
英語リスニングの苦手を克服するには、全部聞き取ろうとしないことが大切です。繰り返し短い英語を聞いていると、英語脳が養われるようになります。また、リスニング力をアップするには、ディクテーションがおすすめです。